言葉のタイムトラベル

ハロワカ?」の運営のため、頻繁に求人情報サイトを訪問している。
キャッチコピーや説明文で使われている言葉の選び方や並べ方が、学校教材とはずいぶん異なっていておもしろい。

論理性・客観性・正確性が重視され、淡々とした文体を貫く教材の解説に比べ、しばしば感覚的・扇情的で躍動感や訴求力がある。

ゆっくり校正している時間がないのか、誤字やねじれ文が少なからず見られるのも特徴的だ。

先日は、こんなコピーがあった。
(※ママだと問題があるような気がしたので、若干変更)

<飲食店を紹介する雑誌の編集者を募集>
仕事をしながら、お気に入りの店が見つかっちゃうかも!

この文の何がまずいのか。

まずい個所を確認する
「お気に入り」と「店」に注目しよう。
「お気に入り」は、既に気に入っている状態、ここでの「店」は未だ知らない状態。
出合うはずのない「既」と「未」が、お手つないで並んでいる。

全体の文脈を無視して、この文のみを額面どおりに解釈すれば、 時間の齟齬は回避できるが、 「携わっている仕事の誌面で、普段から気に入っている行きつけの店を目にすることがあるかもしれないよ」という意味になってしまい、本来の趣旨である「この仕事には、やりながら将来的にお気に入りになる店が見つかるかもしれないという特典あり♪」からはずれてしまう。

手間をかけずに直すなら、単純に「お気に入りの店」を「気に入るお店」に。
「魅力的なお店と出合えるかも!」などとすれば、より情緒に訴える広告になる。
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